障害年金について調べる中で、多くの方が最初に気になるのは「結局、自分はいくらもらえるのか」という点ではないでしょうか。
実は障害年金の金額は一律ではありません。①障害基礎年金か障害厚生年金か、②何級に該当するか、③配偶者や子どもがいるかどうか、という3つの要素によって金額が変わります。
この記事では、令和8年度(2026年度)の最新の金額をもとに、制度の説明だけでなく、具体的なモデルケースで実際の受給額をシミュレーションしながら解説します。
1. 障害基礎年金の金額(1級・2級)
障害基礎年金は、初診日に国民年金第1号被保険者や第3号被保険者であった方(自営業者、学生、厚生年金加入者に扶養されている配偶者など)のほか、20歳前や60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間に初診日がある方などが対象です。加入期間や給与額に関係なく、等級に応じて金額が決まる「定額制」である点が特徴です。令和8年度の金額は以下のとおりです(昭和31年4月2日以降生まれの方の場合)。
| 等級 | 年額 | 月額の目安 |
| 1級 | 1,059,125円 | 約88,260円 |
| 2級 | 847,300円 | 約70,608円 |
1級は2級の1.25倍という決まりになっています。
生計を維持している18歳到達年度末までの子ども(一定の障害がある場合は20歳未満)がいる場合は、以下の「子の加算」が上乗せされます。
| 子の人数 | 加算額(年額) |
| 1人・2人目まで(1人につき) | 243,800円 |
| 3人目以降(1人につき) | 81,300円 |
なお、初診日がなぜ受給できる年金の種類を左右するのかについては、「障害年金の「初診日」とは?なぜ重要なのかわかりやすく解説」の記事で詳しく解説しています。
2. 障害厚生年金の金額のしくみ
会社員や公務員など、初診日に厚生年金に加入していた方は、障害等級が1級又は2級であれば、障害基礎年金に加えて障害厚生年金も受給できます。3級の場合は障害厚生年金のみです。
障害厚生年金は「報酬比例部分」と呼ばれる、給与や賞与をもとに算出される平均標準報酬額と加入期間に応じて計算される年金が中心になります。ここが障害基礎年金と大きく違うところで、同じ2級でも人によって金額が大きく異なる理由です。
報酬比例部分の計算式
平成15年4月以降のみ厚生年金に加入している場合の大まかな計算式は、次のとおりです。
報酬比例部分の年金額 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 厚生年金加入月数
※実際の年金額は、加入時期や加入記録、再評価率などを反映して計算されるため、この式は概算です。正確な数字はねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。
等級ごとの受給額の組み立て
- 1級:報酬比例部分 × 1.25 + 障害基礎年金1級(1,059,125円)+(配偶者加給年金・子の加算)
- 2級:報酬比例部分 + 障害基礎年金2級(847,300円)+(配偶者加給年金・子の加算)
- 3級:報酬比例部分のみ(最低保障額635,500円)
配偶者加給年金は、1級または2級に該当し、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合に243,800円が加算されます。
「300月みなし」という重要なルール
ここで一つ、知っておいていただきたい制度があります。
厚生年金の加入期間が300月(25年)に満たない場合、実際の加入月数ではなく、300月分に引き伸ばして計算されるという仕組みです。
報酬比例部分の年金額 × (300 ÷ 実際の加入月数)
たとえば加入期間が120月(10年)しかない場合は、実際の月数で計算した金額に「300÷120=2.5倍」を掛けることになります。
これは、若くして病気やケガをされた方や、就職して間もない方が、加入期間の短さだけを理由に極端に少ない年金額になってしまわないようにするための配慮です。「まだ厚生年金に加入して数年だから、あまりもらえないのでは」と不安に思われる方は多いのですが、実際にはこのルールによって金額が下支えされています。
3. モデルケースで計算してみる
制度の説明だけでは実感が湧きにくいと思いますので、4つのモデルケースで実際に計算してみます。いずれも令和8年度の金額をもとにした概算です。
なお、以下のケースは受給額の決まり方をわかりやすく説明するために設定した架空のモデルケースです。平均標準報酬額や厚生年金加入期間は説明のための仮定であり、令和8年度時点の実際の加入期間を示すものではありません。
また、ケースB・Cは厚生年金加入期間が300月以上ある場合の計算例、ケースDは加入期間が300月未満で「300月みなし」が適用される場合の計算例として紹介しています。
ケースA:自営業・独身(障害基礎年金2級)
自営業やフリーランスの方など、国民年金のみに加入していた方のケースです。
- 障害基礎年金2級:847,300円(年額)
月額の目安:約70,600円
※所得要件を満たす方は、別途「年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。(令和8年度・2級は月額5,620円)。給付金は所得によって支給の可否が決まるため、ここでは基本額のみを示しています。
ケースB:会社員・独身(障害厚生年金2級・加入期間28年)
平均標準報酬額30万円、厚生年金加入期間28年(336月)と仮定します。
- 報酬比例部分:300,000円 × 5.481/1000 × 336月 = 約552,000円
- 障害基礎年金2級:847,300円
年額の目安:約1,400,000円(月額約117,000円)
ケースC:会社員・配偶者あり(障害厚生年金2級・加入期間30年)
平均標準報酬額40万円、厚生年金加入期間30年(360月)、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合です。
- 報酬比例部分:400,000円 × 5.481/1000 × 360月 = 約789,000円
- 配偶者加給年金:243,800円
- 障害基礎年金2級:847,300円
年額の目安:約1,880,000円(月額約157,000円)
ケースD:会社員・子1人あり(障害厚生年金2級・加入期間10年)
平均標準報酬額35万円、厚生年金加入期間10年(120月)と仮定します。加入期間が300月に満たないため、「300月みなし」が適用される例です。
- ① 実際の120月で計算した場合:350,000円 × 5.481/1000 × 120月 = 230,202円
- ② 300月みなしを適用:230,202円 × (300 ÷ 120)= 575,505円
- 子の加算(1人):243,800円
- 障害基礎年金2級:847,300円
年額の目安:約1,667,000円(月額約139,000円)
実際の加入期間で計算した場合と比べて、300月みなしによって報酬比例部分だけで約34.5万円上乗せされていることがわかります。「加入期間が短いから受給額が心配」という方も、このルールがあることを知っておいていただければと思います。
4. 自分の金額の目安を知るには
受給額の目安を知るには、以下の方法があります。
- ねんきん定期便・ねんきんネットで加入記録や標準報酬額を確認する
- 年金事務所で加入記録や年金額の目安について相談する
おおよその金額がわかるだけでも、今後の生活設計や申請検討する際の参考になります。
まとめ
障害年金の金額は、①障害基礎年金か障害厚生年金か、②等級、③家族構成によって大きく変わります。特に障害厚生年金は報酬比例部分の計算が複雑ですが、「300月みなし」のように、加入期間が短い方にも配慮された仕組みがあることも知っておいていただきたいポイントです。
本記事の金額は令和8年度(2026年度)のものです。年金額や各種加算額は毎年度改定されるため、最新の金額は日本年金機構のウェブサイトでご確認ください。また、本記事の計算例はあくまで目安であり、実際の受給額は個別の状況により異なります。
